【広島市現代美術館「ライフ=ワーク展」出品と新作完成の報告】
すでに会期の半分を終えましたが、広島市現代美術館で開催されている特別展「ライフ=ワーク」に作品3点を展示して頂いています。残りの会期は9月27日(日)までの1ヵ月です。この展覧会は「ヒロシマを見つめる三部作」という3つの特別展が連続して構成する第1部となるもので、10月10日(土)からは第2部「俯瞰の世界図」が開幕します。
特別展[被爆70周年:ヒロシマを見つめる三部作 第1部]「ライフ=ワーク」
特別展[被爆70周年:ヒロシマを見つめる三部作 第2部]「俯瞰の世界図」
会場には開幕日と先週の2回足を運びましたが、被爆70周年という節目の年にヒロシマで開催される展覧会だということからイメージされる内容のものとは少し異なる印象の構成をした展覧会で、会場に入ってから出口に向かって進むにつれて、作品で表現されているテーマが徐々に個人に収束していくような構成をしていました。
ライフ=ワークをほかの言葉に置き換えると、アイデンティティが近いと思います。自分は何のために生きているのか、何をしながら生きていくのかということを、何かにおもねたり、過度に迎合することなく主体的に考えて得ることが出来ていれば、真に自分が信じることを基準とした生き方をすることができるのではないでしょうか。
自分自身を振り返ってみれば、5年前に見たひとつの新聞記事がきっかけで迷路を描く作家を志すようになりましたが、自分にとって迷路を描くという行為はまごうことなきライフワークであり、自分に与えられた命の記録であると思っています。
7月11日の晩、A4サイズの新作迷路が完成しました。
作品のタイトルは「July 2015」です。
延べ制作期間は、ここに記すのも恐ろしいくらいの期間かかってしまいましたが、長い時間がかかったぶん、制作途中には制作手法にも様々な変化が生まれました。
上の写真を撮影したときには、まだ普通紙を用いて画面の保護をしています。
今年の春ごろからトレーシングペーパーで画面の保護をするようになりました。普通紙で全体を覆うことにより、その日に描き込む範囲の姿以外はほぼわからない状態で制作を進めていた自分にとって、画面全体の状態が常に見えるようになったのはかなり画期的なことで、より画面構成を意識しながら制作を進めることが可能になりました。
完成した作品はデザイン事務所にも協力してもらい高解像度のデータ化を行った上で、鉛筆やペンの書き味の良い紙をサンプル帳の中から選んで印刷を行いました。シート状に刷り上がってきた作品の裏面には、シリアルナンバーとサインを入れました。
展覧会の開幕前後から急に身の回りが慌ただしくなってしまい、一時的に作品の制作は止めて、改めて制作環境を整えたり、制作中に不義理をしていた方たちへのフォローをしたり、建築のこまごまとした仕事をひとつずつ片付けたりしていました。
先日、ようやく目の前がクリアになってきたので、次回作の制作準備に取り掛かり、今は自分が思う線が描けるかどうか技術的なものも含めて試行しているところです。
次の作品が完成するまでどれくらいの時間が必要なのか全く見通しが立たないですが、手を抜いたり、妥協をしたりすることなく、淡々と制作していきたいと思います。
Jemapur/Maledict Car