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【自分はこの先、迷路の創作を通じてどうなりたいのか】

今回は以前予告していた内容の記事を書きたいと思います。予告していた内容とは今回の記事タイトルにあるとおりなのですが、これに対する自分の回答というのは、今年の2月を過ぎた時点でかなり明確に出ていました。

先に書いてしまうと、自分は今から10年後の時点において世界に通用する作品を制作しており、それらの作品を通じ自身の生活費や新たな作品の制作費用も得て、自分が作品を生み出す拠点となる地元に対しても経済的に還元している状態を作る。これがタイトルに示した質問に対する、自分の答えになります。何故そのような考えになったかと言うと、今年の2月3日の早朝、フランスのある経済学者が語った10年後の日本の経済に関する映像を見たことも大きな要因のひとつになっています。

映像の概要は、ヨーロッパを代表する知性とも言われる経済学者ジャック・アタリ氏が900兆円を越す膨大な債務を抱える日本に対し、今どうすべきかを語るという内容で、この中で語られる今後の日本経済は、このままではこれまで経験した金融危機などすべてちっぽけなことに思えるようなカオスの世界になり、戦争に対する脅威も深刻になるだろうという、あまりにシビアで救いようの無い内容の予測として語られています。ここまで悲観的内容を伴ったことを書きましたが、ジャック・アタリ氏は映像の中で以下のようにも語っています。

「日本の強みとして、文化がある。(日本人は)芸術やファッションなどの分野で活躍する人が多い」

国内の経済学者ではなく海外の経済学者が語る言葉だからこそ当事者国としての主観は入りにくく、極めて冷静な予測と判断から出た言葉として受け取ったのですが、上で示した言葉(与条件)なども意識したとき、自分は将来どうすべきか?という答えはわりと直ぐに出すことが出来ました。

ちょうど東日本大震災の発生前ではありましたが、例えば家電製品や工業製品の輸出分野でも日本ブランドというのはこれまで以上に評価は落ちていき、これまで優勢を保てていた国に対してもデザイン力やコストの面でも劣勢を強いられ、世界で競争をし外貨を得る手段というものがこれまで以上に無くなるのではないか?債務超過に陥り、少子高齢化で人口が少なくなっていく我が国に於いて、国内だけの視点で考えると経済が上向く要素はほとんど無い訳で、景気が良い国から、如何に作品を通じて外貨を得ることが出来るのか?を考えるべきではないかと思うに至ったのです。

そのためには、いきなりそのような事が出来るはずもないので10年というスパンを一区切りとして設定し、10年後、自分が望む状況に少しでも近付けるような動き方を今の段階から計算して、実践していくことこそが重要だと考えました。自分の場合、アートを主体に考えた事なのでアートを軸として語りたいと思いますが、アートの制作をするのに必要な空間・場所というのは、制作する作品のサイズ、制作手法に左右されるにしろ、わりとどこでも制作できる場合が多いように思います。(ここで言うどこでもとは、地方であろうが都市部であろうが制作する作品が納まる空間ボリュームと作業スペースがあれば、どこでも制作可能だという意味です。)

そして、制作して出来たものは多くの人の目に曝され、評価を受けることが作品を流通させる大前提になると思うのですが、これにはやはり地方都市だけではなく、東京・大阪・京都・福岡など、ある程度人口の集中した都市部からの発信をしないと、日の目を浴びる可能性を考えた場合にも限界があるように思います。自分が考える理想は、地方であれ都市部であれ、今現在、何かしらの創作・制作活動を行い、且つ、まだ評価の定まっていないアーティストの人たちはなるべく多くの人たちに作品を見て貰い、そこで評価を得て、評価が定まってきたら、作品の制作環境を自分の故郷に移すことが出来ればそれが最善だと考えます。

何故なら、多くのアートの制作には特に場所は関係ないと思うと書きました。そして10年後、世界に通用する作品作りを目指したいとも書きました。日本の経済が国内だけでは回らないことが自明な以上、日本の各地に世界に通用する作品を生み出すアーティストが点在し、作品を通じて景気が良い国から外貨を引っ張ってきて、自分が作品を生み出す拠点となる自治体に還元するという状況を作ることが出来ればそれは本当に素晴らしい事であり、アーティストというあやふやな立場の存在の地位もこれまで以上に向上するのではないでしょうか。以上が、震災発生前に自分が考えていた、この先どうしたいのか?という事です。

東日本大震災の発生に依り、このままではジャック・アタリ氏が予測した以上の早いペースで更に最悪な方向へと日本の経済は進むのかも知れません。震災に絡む原発の事故に対する日本政府の対応を見る限り、海外諸国からの日本の評価はすぐには回復しないでしょうし、輸出したくても受け入れて貰う事が出来ないという、そもそも勝負の土俵にすら上がれない状況も起こりうるでしょう。今後、如何なる状況になろうとも、それぞれ皆が生きていかなくてはいけない訳で、自分は今回の記事で記した「10年後の目標」に従って迷路の創作活動を継続し、1つでも多くの作品を残していけるように生きていきたいと思います。

 

連休が始まった先週末よりリフォームの現場での打ち合わせの為、関西方面に5日間の出張をしてきました。本来の予定ではこの時期に現場に行く予定は無かったのですが、連休を挟むと決まるものも決まらず無駄な日数を踏むことになると判断し、急遽行ってきました。現場まで出向いた甲斐あってスムーズに話もまとまり、連休明けには工事契約を結んでいただく運びとなったのですが、滞在中、別のリフォーム物件の連絡もあり、こちらも正式に工事をしたいという依頼だったので、しばらくは現場とのやり取りと迷路の制作活動とで忙しくなりそうですが頑張って取り組んでいきたいと思います。

上の写真は県外に滞在中、足を伸ばして訪れた「prinz」というレストラン&カフェです。こちらのお店は飲食のみならず宿泊スペースやギャラリーなども併設されていて、半地下になったレストラン・ギャラリー空間から手入れの施された庭を眺めながら食事をとることが出来ます。食事をとったあとはそのまま併設の展示スペースを鑑賞することが出来るのですが、この日は精華大学大学院に在学中だという作家の方の作品が展示されていました。

Kishimoto Saori / Presentiment of mass展

同じフロアの一角には洋書を中心とした美術関係の書籍を置くコーナーも用意されていて、ソファに腰掛けながら気に入った本を自由に読むことが出来ます。

次回の記事は特に内容を決めず、臨機応変に更新したいと思います。


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