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【日の光を集めて炭化させるという装飾】

今回は、以前紹介した「現場で拾ってきた木材の切れ端に装飾するシリーズ」の中に、墨で模様を描いた後、更に手を加えた手法で制作したモノがあるので、そちらの方を紹介したいと思います。

赤松の板(36mmの厚さ)、墨

いきなり全体の姿を載せましたが、この板の材質は写真下の説明にもあるとおり、36mmの厚さをした赤松(マツ科マツ属の常緑針葉樹)という木になります。この木材は住宅の屋根の下地材として使用したのですが、建物内部の天井面にもそのママ化粧で見せるという使われ方がしました。

建物の棟上げ工事が終わり屋根の下地を作るときに、現場で切り落としたモノを持ち帰り、以前にも紹介した装飾シリーズと同様に筆に墨を含ませて模様を描き、ここからが前回までの作品には無かった今回の作品の大きな特徴になりますが、太陽が顔を出している天気のいい日を狙ってはベランダに持ち出して、虫眼鏡で太陽光を集め、墨で黒く描かれている模様の部分を焼いて炭化させていきました。

自分の中のこだわりとして、なるべく自然な素材であるとかアナログな道具を使って何かを作りたいというのがあり、模様を描くにしても油性マジックやサインペンでなく筆と墨を使いたいし、描く対象となる素材も木や石という自然物を選択していますが、この基本的な考えの中で太陽光で板を炭化させるという行為も「あり」だと思いました。(実を言いますと、自分の父親が「遊びの一環」で同様手法の作品を作っています)

赤松という素材は文字通り「松」なので、非常にヤニを含んでいて脂っこい感じです。板が炭化する際には、ジジジジッっという音と独特の燃える匂いと共に、このヤニが板の表面に浮き出てくるのですが、それを虫眼鏡越しに見てると、なんとも言えない不思議な感覚を覚えます。(太古の人々が初めて火を見たときのようなイメージ?)

この作品では、炭化させた部分はそのママの状態で特に処理はしていませんが、炭化した墨の部分を全てブラシで落としてしまっても面白い表情が出てきます。具体的には、如何にも固そうで、惑星の地表を想起させる凸凹した表情が現れます。

次回は、迷路に目覚めてから自分が買い集めた「迷路の本」を紹介したいと思います。


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