【感覚に任せて模様を描く】
今回は、前回の予告どおり「現場で拾ってきた木材の切れ端に装飾するシリーズ」を紹介したいと思います。2つ前の記事にも書きましたが、自分が何かを装飾する場合、下書きなどは行わず、いきなり好きな場所に筆を落とし、あとは自分の感覚に任せ、好きなように描きます。まずは、出来上がった今回の完成品の姿をご覧ください。
杉の厚板の切れ端、墨
この作品は、恐らく6~7年前、下手すればもっと前に作ったものになります。描いてある模様に意味を求めても「意味がない模様」としか言えないのですが、これを見ていると、見る人に依って違う何らかのイメージが浮かぶかと思います。蝶の羽のようなもの、植物の葉のようなもの、砂漠、あるいは砂丘のようなもの、オアシス、水たまり、、自分には、このようなイメージに見えます。
描く対象物が木である場合、木の吸い込みの関係で急に墨が滲む場合があるので、「このまま描くと、滲んでおかしくなる」と思えば、違う方向に筆を進めるなどしながら描いていくのですが、この作業の考え方は、自分が迷路を描く場合と共通しています。
今回紹介しているものは杉板の上に筆を使って墨で描いていますが、板の性質上、わりと吸い込みが強いので、あまりたっぷりと筆に墨を含ませないように描きました。描かれている模様の一部を拡大してみると、自分の性格がとてもよく現れています。
とにかくラインのエッジがフラットでなくてはダメだということを徹底して描いてあり、これを描いた自分にしかわからないコトとして、ラインのフラットさを徹底するために、万一、描いてるラインがブレたりした場合には、そのブレを吸収するように筆を重ね、模様のほうを変えてしまうという作業の繰り返しで、この全体が生み出されています。
「現場で拾ってきた木材の切れ端に装飾するシリーズ」の作品は他にもありますが、木材+墨にプラスαを加えた手法で制作したものもありますので、そちらについては、またの機会にでも紹介したいと思います。
次回は特にテーマを決めず、何か書きたいと思ったことを記事にしたいと思います。