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【ときどき湧き出てくる衝動】

ふと気が付けば、前回の記事を更新してから、もう5日も過ぎてしまっていました。今回は、ときどき自分の中に湧き出てくる衝動と、その結果、生まれてきたものを紹介したいと思います。

「迷路」に目覚める以前の自分の日常というのは至って平凡で、普段から特別に何かを作るだとか、絵を描いてみるということもなく、趣味とも言えるパソコンを使い、インターネットで遊んだり、雑誌を読んだりして時間を過ごしていましたが、ときどき、何かを作りたい(描きたい)という衝動に駆られるコトがあり、この衝動というのは定期的なものでもなく、本当に気まぐれに沸き起こるもので、自分自身でさえも、なぜ、突然にそのような感情に捉われるのかわかりません。

この衝動に従って作り出すものは一様ではありませんが、今回紹介するものは、木造住宅の建築現場に落ちていた土台の切れ端を使ったオブジェになります。

桧の土台(12cm角)の切れ端、墨

これは前の事務所に在籍していた際、現場で見付けた土台の切れ端を持ち帰り、墨で装飾を施して作りました。内装工事などに取り掛かる前の木造住宅の現場というのは、現場の至るところに木材の切れ端が落ちていて、特に、建前(上棟)が終わった直後の現場というのは、柱や土台、梁などの角材といった様々な大きさと形をした切れ端が落ちています。これらの木材は、基本的に家作りには関係のない「ゴミ(廃棄物)」でしかないので、通常、一ヶ所にまとまられたあと廃棄処分になってしまうのですが、これをそのまま捨ててしまうには惜しいと思い、自分なりの装飾を施して手元に残そうと考えました。

自分のスタンスとして、何かの衝動が沸き装飾を施す場合には、下書きであるとかスケッチの類は行わず、対象物にいきなり筆を落としていきます。これは、あまりに計算して何かを作る(描く)と、何か邪念のようなものが反映されて、本来の自分の衝動から生まれてくるべきものではなくなるように感じるからです。今回のオブジェもその例に漏れず、自分のフィーリングに従って線を描き始め、接地面(直方体の下面)以外の5面を埋めていきました。

あまり計算は行わず、自分のフィーリングに従って描き込みを行うと書きましたが、如何なる装飾を施す際にも、コンセプトだけは最初に決めて取り組んでいます。

「各面を見た際に異なった印象を持つ、面の境界を越えた(面をまたぐ)パターン」

「具象的デザインではなく、且つ、特定の文化に依存せず、知性を感じさせるもの」

以上2点が、このオブジェを装飾(デザイン)した際のコンセプトになります。

「現場で拾ってきた木材の切れ端に装飾するシリーズ」は他にも数点ありますので、次回の記事で別の作品も紹介してみたいと思います。


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